施工実例
Example
名古屋駅前に位置する病院にて、排水管清掃作業を実施いたしました。
病院は日々多くの患者さまや医療従事者が利用するため、衛生環境の維持は極めて重要です。特に排水設備は、目に見えない部分で汚れやバイオフィルム(微生物膜)が蓄積しやすく、放置すると悪臭や詰まり、衛生リスクの原因となります。今回の作業では、薬品投入による化学的洗浄と高圧洗浄による物理的洗浄を組み合わせた二段階方式を採用しました。
まず、専用のアルカリ性薬品を排水管内に投入し、一定時間反応させます。この薬品は、油脂や石鹸カス、タンパク質汚れなどを分解しやすい状態に変化させる効果があります。薬品が配管内の汚れに浸透し、固着したスケールやバイオフィルムを軟化させることで、後工程の高圧洗浄の効果を最大限に引き出します。
薬品反応の時間を十分に確保した後、高圧洗浄機を使用して配管内を一気に洗い流します。高圧水流は、薬品で軟化した汚れを効率的に剥離します。特に病院のように排水量が多く、かつ医療系の汚れ(血液成分や薬剤残渣など)が混入する可能性がある施設では、この二段階施工が非常に有効です。
作業後は、排水の流れがスムーズになりました。臭気の発生も抑えられ、問題箇所がないことを確認しました。
病院や医療施設では、日常的な清掃だけでは対応しきれない配管内部の汚れが蓄積しやすく、定期的な専門清掃が不可欠です。今回のように薬品洗浄と高圧洗浄を組み合わせることで、衛生面のリスクを低減し、施設全体の快適性と安全性を長期的に維持することが可能となります。
トイレ床排水の高圧洗浄について
トイレの床に設置されている床排水口(床ドレイン)は、日常的に水や洗浄液が流れ込むだけでなく、髪の毛や紙くず、ほこり、靴底の砂、清掃時のモップ汚れなど、さまざまな異物が混入しやすい箇所です。特に公共施設や病院、商業施設など利用頻度の高い場所では、これらの異物が配管内で堆積し、詰まりや悪臭の原因となることが少なくありません。特にトイレは衛生面の印象が施設全体の評価にも直結するため、年1回~2回の定期的な高圧洗浄をおすすめします。
小便器の尿石詰まりと高圧清掃について
病院や介護施設、商業施設など、多くの人が利用するトイレでは、小便器の排水不良や流れの悪化が頻繁に発生します。その代表的な原因のひとつが尿石の蓄積です。
尿石は、尿に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が配管内で固まり、石灰化したものです。時間の経過とともに層が厚くなり、配管の内径を狭めてしまいます。これにより排水の流れが悪くなり、悪臭や詰まりの原因となります。特に病院や施設では利用頻度が高く、尿石の付着スピードも早いため、定期的な除去が欠かせません。
専用の尿石除去剤を小便器の排水口から投入します。この薬剤は尿石を化学的に分解・軟化させ、固着を緩める効果があります。
※薬剤は配管材質や環境に合わせて濃度・反応時間を調整します。
反応時間の確保
薬剤が尿石に十分浸透し、分解が進むまで一定時間放置します。この工程を省くと、後の高圧洗浄の効果が半減します。
高圧洗浄による除去
高圧洗浄機を使用し、薬剤で軟化した尿石や汚れを一気に洗い流します。配管の曲がりやトラップ部分までノズルを挿入し、内壁をくまなく洗浄します。しかし・・・
◆小便器の尿石は“完全除去”が難しい理由と、定期薬品洗浄の必要性
小便器の詰まりや流れの悪化の大半は、尿石の固着が原因です。一度しっかり固着してしまった尿石は、専用の薬品を使っても完全に剥がしきることが難しいのが現実です。
薬品で軟化させても、厚く層になった部分や配管の奥まった箇所には残留しやすく、わずかな残りが再び核となって短期間で再付着・再成長します。
なぜ完全除去が難しいのか
・石灰化の硬度
長期間放置された尿石はコンクリート並みに硬化し、薬品の浸透が困難になります。
・配管形状の影響
曲がりやトラップ部分など、薬品や水流が届きにくい箇所に残留しやすい。
・再付着の早さ
わずかな残りでも、そこを起点に短期間で再び尿石が成長します。
定期薬品洗浄が不可欠な理由
・予防こそ最大の対策
固着してからでは除去に時間も費用もかかり、配管や器具を傷めるリスクも高まります。
・軽度のうちに分解
付着初期の柔らかい段階で薬品洗浄を行えば、短時間で安全に除去可能です。
・衛生・臭気対策
尿石は雑菌や臭気の温床となるため、定期洗浄で衛生環境を維持できます。
◆尿石の剥離除去作業と下流全域洗浄の必要性
小便器の配管に固着した尿石は、通常の薬品洗浄だけでは完全に除去できない場合があります。その際に行うのが、管内カメラで内部を確認しながら、特殊ノズルを用いた高圧洗浄で物理的に剥離させていく方法です。
この作業は非常に時間がかかります。なぜなら、尿石は硬く、配管の曲がりやトラップ部分にもしっかり付着しており、慎重に少しずつ削り落としていく必要があるからです。
剥離後に発生する新たなリスク
尿石を剥がすと、その破片は下流側へ流れていきます。しかし、尿石は非常に重く、比重は石や砂とほぼ同じため、水流だけでは完全に流し切れません。結果として、下流の配管や桝の底に沈殿し、新たな詰まりの原因となります。
下流まで全域洗浄が必要な理由
・沈殿物の蓄積
剥離した尿石は砂状〜小石状になり、桝や配管の底に溜まります。
・部分洗浄では不十分
上流だけをきれいにしても、下流に沈殿物が残れば再び流れが悪化します。
・最終桝までの徹底除去
外部の最終桝(本管接続手前)まで洗浄し、沈殿物をすべて回収する必要があります。
尿石の物理的剥離は、「剥がす」だけでは終わらない作業です。剥がした後の破片が下流で新たな詰まりを引き起こすため、配管全域を通しての洗浄と回収が不可欠です。特に病院や施設など利用頻度の高い環境では、この全域洗浄を怠ると短期間で再トラブルが発生します。
◆結論
尿石は「詰まってから取る」では遅く、“固着させない”ための定期薬品洗浄が唯一の有効策です。予防的なメンテナンスこそが、設備の寿命を延ばし、衛生と快適性を守ります。
◆推奨サイクル
病院や施設など利用頻度の高い場所では、最低でも年1〜2回の薬品洗浄を推奨します。利用者数や水質によっては半年に1回の実施が理想的です。